麻酔科生涯教育について

1. 専門医取得後

本人の意向ならびにそれまでの業績等を参考にしながら、各自のcarrier upを応援していきます。

具体的には
1) 臨床主体か、研究主体でいくか
2) 大学(留学を含む)に残るか、関連病院に就職するか
3) 臨床麻酔のサブスペシャリティー(脳神経麻酔、心臓麻酔、小児麻酔等々)やペインクリニックや緩和医療、集中治療(救急含む)の集中的な研鑽を行う

2. 大学院

将来、大学等での指導者を目指す人はもちろんの事、いずれは臨床一本と考えている人も、ある時期研究にいそしむ事は、医師としてのキャリア形成に決してマイナスにはなりません。
当教室は、希望者のみを対象として、標榜医取得後(すなわち麻酔科医と名乗れるようになってから)の入学を原則としております。しかし、研究に対して、強くしっかりとしたモチベーションを持った人であれば、CLARC プログラムなどを利用した、早期入学についても、検討いたします。 なお、当教室では、院生の間も研究と臨床とを両立させることを原則とします。

3. 出産・育児サポート

出産、育児に際し、各自の周辺環境は千差万別です。我々は、そのサポートを画一化せず、テイラーメードで支援を行ってきました。その結果、多くの方々が自分に合った形で、キャリアを継続できています。たとえば、当教室に2005年以降入局され、専門医受験年限に達した女性医師の約8割が専門医を取得し、同様に約8割の方が教室関連教育病院で活躍されています(2019年2月現在)。

4. 取得可能な資格・専門医

麻酔科標榜医、麻酔科認定医、麻酔科専門医、麻酔科指導医、集中治療専門医、ペインクリニック専門医、高気圧酸素治療専門医、緩和医療認定医・専門医、心臓血管麻酔専門医、神経麻酔指導医、小児麻酔認定医、救急専門医

5. 関連教育病院

当教室には多数の関連教育病院や協力病院があり、一部は専門医研修プログラムに参加しています。

6. 集中治療に興味のある方へ

当教室では、専門医プログラム研修初期から積極的に集中治療に関わっていくことができます。北大病院での集中治療部では、集中治療専門医である森本裕二が部長を務め、副部長の斉藤仁志を含め、計5人の集中治療専門医を中心に診療、教育、研究に携わっています。
また、専門医研修施設である手稲渓仁会病院、KKR札幌医療センターの他、砂川市立病院や函館中央病院など、麻酔科医が主体的に集中治療を運営している関連病院が沢山あります。

7. ペインクリニックや緩和医療に興味のある方へ

集中治療同様、当教室では、専門医プログラム研修初期から積極的にペインクリニックや緩和医療に積極的に関わっていくことができます。北大病院でのペインクリニックでは、4人のペインクリニック専門医を中心に、診療、教育、研究に携わっています。緩和医療も、緩和医療認定医である敦賀健吉講師をリーダーとして、もう1人の緩和認定医とともに麻酔科主導で運営しています。
ペインクリニックでは、JCHO北海道病院が指定研修施設となっており、緩和では市立札幌病院、恵佑会札幌病院、KKR札幌医療センター、旭川厚生病院が認定研修施設となっています。

8. 心臓麻酔に興味のある方へ

北海道大学病院では、5人の心臓麻酔専門医が在籍し、彼らを中心に新生児の複雑心奇形を含めた年間150件程度の小児心臓麻酔を含め、多くの心臓・大血管手術を担っています。
さらに、北海道大学をはじめ関連教育病院の砂川市立、手稲渓仁会病院が心臓麻酔専門医認定施設(道内5病院中3病院)となっており、関連教育病院全体での心臓・大血管症例は優に年間1000件程度を有しています。したがって、心臓麻酔専門医のための必要経験症例のクリアも容易です。

9. 区域麻酔に興味のある方へ

北海道大学病院では、整形外科等の、区域麻酔対象の症例も豊富です。新たに制定された区域麻酔認定医も2人在籍し、彼らを中心にした指導の元、多くの症例を経験できます。

10. 救急にも興味のある方へ

北海道大学の救急医学教室は、出身母体が同じ兄弟教室であり、希望者には救急研修も提供できます。専攻医研修では、麻酔と救急は同じ基本診療科の一つですので、麻酔専門医研修中は、救急プログラムに所属することはできません。したがって、もし、救急専門医とのダブルボードを希望される方は、麻酔専門医取得後、それに向けての研修となります。